長靴の音


 ふたりで遊ぶのは楽しかった。いつも真剣だったと思う。
思いだせば他愛もないことばかりだが、その子との遊びをあまり母には
報告しなかったのは、牛乳を飲むときにはコップは一人ひとつずつ用意
するようにいつも言われていたし、空ビンに水を入れて物置に隠したヤ
ゴもボウフラも、母に見つかると怒られて捨てられてしまったから。
 雨の日の放課後は、下駄箱の前でその子が大きな音をたてると、続け
て自分も下駄箱から取り出したままの高さから、まっすぐ落下するよう
に長靴から手を離した。
大きめサイズのゴム長の雨に湿った音がふたつ響く。
 「パゴォーン」 「ペゴォン」

 むずかしい擬声語は確認してからでないと本当は書けない。

 『I saw his boots』より

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